"朝の雲雀" というタイトルどおり、鳥がさえずるようなフレーズがちりばめられた楽しいjigです。また、曲の由来について面白い物語があります。
あるところに一人のパイパー(Uilleann Pipes、イーリアン・パイプスのプレイヤー)がいました。仮に彼をトムとします。トムは音楽が大好きで熱心に練習していましたが、いつまでたってもうまくなりません。ある日トムは野原で妖精と出会います。その妖精はトムに、上手に演奏できるようになるまじないを教えてやると言い、「自分は楽しいけど聴いている人は楽しくないのと、自分は楽しくないけど聴いている人は楽しいのと、どちらがいいか」と尋ねます。とにかく楽しく演奏したかったトムは迷わず「自分が楽しいのがいい」と答えます。
妖精のまじないによって、トムのイーリアン・パイプスから素晴らしいメロディがあふれ出すようになりました。喜び勇んで街角で演奏しますが、誰もトムの演奏に耳を傾けてくれません。がっかりしたトムはもう一度妖精に会いに行き、やっぱり自分は楽しくなくてもいいから人に楽しんでもらえる演奏をしたいと頼みます。こうしてトムは国中に名の轟くパイパーとなり、やんごとない方のお抱えとなりました。
あるとき、別の国のやんごとない方が、トムと自分のお抱えのパイパーとどちらが腕がいいか勝負をさせたいと申し出ました。交互に演奏して、先にレパートリーの尽きた方が負けです。2人の勝負は一晩中続きますが、明け方になると、さすがの2人も演奏を続けるのが難しくなってきました。知っている曲がなくなってしまったトムが、時間を稼ぐために手洗いに行くと、窓の外で雲雀が歌っていました。手洗いから戻ったトムは、雲雀が歌った曲を演奏します。相手のパイパーはそれ以上曲を演奏できず、この勝負はトムの勝ちとなったということです。
オチについては、お互いレパートリーが尽きてしまったところに雲雀の歌が聴こえてきて、勝者は雲雀だということになったというバージョンもあります。また、登場人物をパイパーではなくフィドラーとするバージョンもあるようですが、フィドル・チューン(フィドルのための曲)のようには思えないので、別の物語とごっちゃになってしまったものではないかと思います(妖精からフィドルの才能を与えられたという物語もたくさんあります)。
Calliope Houseと同じ時期(つまりアイリッシュ・トラッドというジャンルを知って、ちょっとだけ挑戦してみた時期)に覚えたので、一番古いレパートリーの一部ということになります。ただ、当時はティン・ホイッスルのプレイヤーが書いた楽譜をもとに覚えたので、フィドラーにとって弾きやすいアレンジではありませんでした。今弾いているバージョンは大森ヒデノリさんのHPに掲載されているのをベースに、難しいところを適当にごまかしたものです。パイプ・チューンなのを意識して、できるだけロールを入れるようにしています。
Dパートはいかにもとってつけたように曲調が変わるので、仲間内でよく「後から付け足されたんじゃないか」と話していました。とはいえどうやって調べたものか見当がつかないので疑惑(?)を放置していたのですが、The Sessionのコメント欄でSpotted Cow(freesheetmusic.netより)のAパートがくっついたんだろうという指摘を発見しました。確かにそのまんまです。おかげですっきりしました。
音源 etc.
Uilleann Pipes in the Jax: Lark in the Morning:
イーリアン・パイプスのソロ。やっぱりこの手の曲はパイパーの演奏が魅力的です。
Irish Fiddle - Lark In The Morning:
セッションでの演奏のようです。リピートのたびに変奏しているので、参考になります。
THE LARK IN THE MORNING - IRISH JIG LESSON FOR FIDDLE - BY IAN WALSH - www.OnlineLessonVideos.com:
オンライン・レッスンの教材です。前半がとおしの演奏、後半は運指を示しながら少しずつ音を取って行くという構成です(大森さんの楽譜のものとはアレンジが違います)。前半はゆっくり丁寧に弾いているのでボウイングが分かりやすいですし、後半はスライドやロールを繰り返し見せてくれます。おすすめです。
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