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ハーディングフェーレ−調弦の話   fiddle

検索エンジン経由でこのサイトにやってくる方が入力した検索ワードの、楽器関連での一番人気は "ハーディングフェーレ" です。この傾向はハーディングフェーレを買ってしまったというネタを披露する前からずっと変わりません。フィドルではないのがちょっと残念です。

"ハーディングフェーレ" で検索するとこんなしょうもないサイトがヒットするということは、ハーディングフェーレに関する日本語の情報がいかに少ないかを端的に表しています。ということで、ささやかながら、あちこちで拾ってきた情報をちょっとずつまとめてみようと思います。もちろん、所詮は落書き帳ですので、それなりに割り引いてお読み下さい。間違いがあればメールなりコメントなりでご指摘いただけると嬉しいです。

まずは調弦の話から。

ハーディングフェーレには4本の演奏弦と4ないし5本の共鳴弦があります。演奏弦は普通のフィドルと同様に、低音側から順にG線、D線、A線、E線と呼ばれます。では調弦もフィドルと同じかというと、そうではありません。スタンダードな調弦はA-D-A-Eです。さらに、演奏する曲にあわせて適宜調弦を変えます。紛らわしいことに弦の名称と調弦は必ずしも一致しないのです。そこで、なのかは分かりませんが、低音側から順に "bass" 、 "ters" 、 "kvart" 、 "kvint" という呼び方もあります。それぞれ英語に直すと "bass" 、 "third"、 "forth" 、 "fifth" という意味です(4弦なのに最高弦がなぜ "fifth" なのかはきかないでください)。共鳴弦は単純に(低音側から順に)5弦、4弦、3弦、2弦、1弦と呼ぶようです(5弦がないモデルもあります)。

調弦のパターンは20以上もあるそうですが、ネット上の資料でよく見かけたのはstandard tuning、low base、troll tuningの3つです。ただ、trollはさらに3種類の調弦があるそうです。それぞれ、低音側から順に、下表のとおり調弦します。共鳴弦が4弦のモデルは一番左を省略します。

調弦の名称演奏弦共鳴弦
standard tuningA-D-A-E(B)-D-E-F#-A
low base
(violin tuning)
G-D-A-E(B)-D-E-G-A
troll tuning
(devil's tuning、gray lightning)
A-D-F#-A(B)-D-E-F#-A
A-E-A-#C(C#)-D-E-F#-A
A-E-A-E(C#)-D-E-F#-A

さて、ここまででも十分ややこしいのですが、さらに話をややこしくする要素があります。ハーディングフェーレの基準ピッチ(A音の高さ)はフィドルのものと、つまり一般的な弦楽器のものと違うのです。A音を通常よりも1音高くとるのが一般的なようですが、厳密なルールはなく、好みで適当に決めればいいようです(A音がフィドルよりも高いことはどの資料でも同じでしたが、高くとる幅については半音から1.5音までまちまちでした)。適切な表現なのか分かりませんが、トランペットやサックスのような移調楽器だと思えばいいのではないでしょうか。

ということで、各弦の "実際の" 調弦は先ほどの表とずれてしまいます。例えばstandard tuningでは演奏弦は、実際はB-E-B-F#となります(A-D-A-Eの1音上)。その他も適宜読み替えて下さい。

ちなみに、私はフィドルと併用する都合上、lowbaseで基準ピッチもフィドルと同じ(一般的なハーディングフェーレの1音下)にしています。ただ、曲のキーによってはG線をAにした方が指遣いが楽なので、ときどきstandard tuningに切り替えます。

ところで、演奏弦はともかく、共鳴弦はどうやって調弦すればいいのでしょう? 答えは案外シンプルです。私がハーディングフェーレを作ってもらったWulffenstejn Hardanger Fiddle & Mandolin Worksでは、 "爪楊枝ではじく" ことを勧めています。私は先の細いマイナスドライバーを使っています。共鳴弦にはアジャスターがないので半音未満の調整が大変ですが(アジャスターなしでフィドルのE線を調弦するのをイメージしてください)、10〜20分ほど格闘すれば、なんとかなります。曲によって何種類もの調弦を使い分けるような根性は私にはありません。

ハーディングフェーレ奏者は人生の半分を調弦に費やしている、だからhardanger fiddleというんだ。つまり、so dang hard to tuneってこと。

(The hardanger fiddlers spend half of their time tuning the instrument and that it's called a hardanger, because it is so dang hard to tune)

なんていうジョークもあるぐらいですから。でも、きちんと調弦できたときの共鳴弦の響きは、弦楽器好きにはたまりません。

コメント

Mじぇ~むす :

調弦…なかなか複雑なんですネぇッ! 合衆国ならいろんな弦が安く でまわっているかも~?ですが 日本では入手の段階から苦労しそうですねェ
☆ところで ハーディングフェーレの胴体は フィドルより小さいんですよネェ ストップの長さも かわっちゃいますよね? ナットからブリッジまでの距離も短いのかなぁ

cead :

一般的にはやや小振りでネックが短いようですが、各部の寸法の取り方がバイオリンのようにかっちりと確立していないので、個体差がかなり大きいようです。ネックの長さがバイオリンと同じものも存在します(Bevanはそういうモデルも作っています)。
私の楽器については、細部の形がかなり違うもののボディのサイズはバイオリンとほぼ同じで、ネックは3cmほど短いです。もっともバイオリンもそれなりに個体差がありますが。また、ネックが短い分だけ有効弦長も短いです。

Mじぇ~むす :

☆いつも 小生のつまらない質問にも しっかり答えていただいてありがとうございます♪ これから素人製作家を目指す!!?小生には 本当にいい勉強になります♪ ⇒フィドルだけじゃなく 塩ビの水道管で笛なんかも作ったりしているので~… (本当は怠け者だから)フィドル製作はなかなか先に進んでいませんがσ(^◇^;)~

☆ネックが短い→ビオラのロングスケール弦なんかなら GDAEにチューニングしやすいかもぉ? チェロの分数弦もいいかも~ですねェ♪

色々と研究されてますね~。ハーディングフェーレは情報がとても少ないから、そのうちここは聖地になるのでは^^

う~、速く弾かせて頂きたい♪ …のですが、入院されたんですか?

cead :

>せばすちゃんさん

なんせ人柱ですから(笑)
ネットで調べたことの受け売りばっかりですからこんなレベルで聖地になると困るんですけど(^_^;
私が知っているだけでも日本人のプロ奏者が4人、アマチュアが3人(私含む)いますので、びっくりするほどレアな楽器というわけではないはずなんですが、日本語の情報はないんですよね。
正直、現時点では最低限英語で調べ物や問い合わせができないと手を出せない楽器です。ノルウェー語ができればなおよし。

残念ながら駒の再調整が必要になってしまったのでアコースティック・ハーモニーさんに入院させました。
納期は未定です。今月中には退院できると思うんですが。
できたてほやほやの弦楽器、それも気候の違う国で作られたものなので、安定するまでは時間がかかりそうです。

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