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へっぽこフィドル弾きceadの落書き帖です。

Since 2008.01.11, Last updated on 2010.07.22

ハーディングフェーレの扱いについて書かれた資料には、必ずと言っていいほど「決してバイオリン弦を張ってはいけない。ハーディングフェーレの専用弦を使うように」と書かれています。バイオリン弦はハーディングフェーレの専用弦よりも張力が強いこと、また一般的にハーディングフェーレはフィドルと比べると華奢にできているため、楽器が耐えられないというのがその理由としてあげられています。

とはいえ、残念ながら日本国内ではハーディングフェーレの専用弦なんて売っていません。工夫の余地がないか、それぞれの弦の張力を調べてみました。

  • ハーディングフェーレの専用弦:HFAAが販売しているのは10.4、11、12の3種類(11が標準)
  • バイオリン弦:10.5~11程度(ブランドにより異なるのであくまで目安)

カタログ上は張力はほぼ同等。むしろバイオリン弦の方が張力が若干弱いのです。さらに、ハーディングフェーレはフィドルよりネックが短いので、同じ弦を張った場合は若干ながら張力が弱まります(同じピッチで調弦する場合、弦長が長いほうが張力が強くなります)。

なのに、なぜハーディングフェーレがバイオリン弦に耐えられないということになるのでしょうか。答えは調弦の違いです。ハーディングフェーレは、基準ピッチをフィドルより1音程度高くするのが一般的です(ハーディングフェーレ-調弦の話参照)。調弦が1音違えば、弦の張力は相当強くなってしまいます。フィドルをお持ちの方は、試しに1音 "低く" 調弦して張力の変化を確認してみるとよく分かります(1音 "高く" するのはやめた方がいいと思います)。その上、調弦のスタイルによっては1音どころではなく高く調弦することになりますので(例えばstandard tuningでは、G線はフィドルのG線より2音高く調弦します)、バイオリン弦を使うのは論外ということになるのでしょう。

では、絶対にバイオリン弦を使えないかというと・・・そうでもなさそうです。調弦が違うせいでバイオリン弦が使えないのであれば、フィドルとまったく同じ調弦にしてやれば問題ないはずです。念のために、上記の考えを製作者であるBevanに確認してみたところ、あっさりとバイオリン弦を張っていいという答えが返ってきました。

I use Stradivarius measurements for the box construction so it will withstand violin strings if you want to install them. The top is also made from long-grained red spruce which is stronger than sitke or engelman.

私はストラディバリウスと同じ寸法でボディを作っていますから、もしそうしたいのなら、バイオリン弦を張っても大丈夫でしょう。表板は柾目のスプルース材(訳注:フィドルの表板に用いられる木材)で、sitkeやengelman(訳注:おそらくハーディングフェーレによく用いられる木材)より丈夫ですし。

調弦や弦の張力の話には触れていませんが、文脈上、完全にフィドルと同じ調弦であることが前提でしょう。私はもともとフィドルと同じ調弦(A=440Hzのlow base)で弾くつもりでしたので、演奏弦としてバイオリン弦を使うことにしました(※Bevanが作ったハーディングフェーレ以外にもあてはまるかは不明です。また、楽器に悪影響がある可能性はゼロではありませんので、真似をしたい方は自己責任でお願いします)。

ただし、張力以外にもバイオリン弦を張る際に問題になることがあります。テールピース側のエンドの形状と、弦長です。

まずエンドの形状ですが、A線とD線にはボールエンドの弦は使えません。ボールが共鳴弦を張るための金具と干渉してしまうためです。金具を加工してスペースを空けるか、裸ガットなどボールエンドでない弦を探す必要があります(私の知る限りボールエンドでないA線、D線は裸ガットの弦だけです)。私は面倒が嫌いなので、裸ガットのバイオリン弦を試してみることにしました。ガット弦=高級弦のイメージがありますが、裸ガットならナイロン弦よりずっと安いです。耐久性に問題がなければ、裸ガットのバイオリン弦を常用するつもりです。

弦長については、ハーディングフェーレはフィドルよりもネックが短い分だけ弦長が短く、その分の始末に若干の工夫がいります。バイオリン弦を使うと弦が余ってペグに巻き付ける部分が多くなってしまいますが、もともと共鳴弦がある関係でペグボックスが混み合っており、ペグボックス内での弦の配置に余裕がありません。ということで、弦の太さにもよりますが、適当に長さを切り詰めてやらないと弦がペグボックスに納まらない可能性が高いです(私が試した裸ガットの弦は切り詰める必要がありました)。

ちなみに、Bevanの工房(Wulffenstejn Hardanger Fiddle & Mandolin Works)では注文時にバイオリン弦を使いたいと伝えておけば、ボールエンドのA線、D線を使えるようにカスタマイズしてくれます。ネックの長さも、希望すればフィドルと同じにしてもらえます。

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